賃貸住宅を探すコツ⑰ ~敷金の役割
賃貸住宅の入居時に必要なお金として「敷金」があります。意外とまとまった金額なので、入居する際できれば支払いたくないお金かもしれません。今回はそんな「敷金」についてです。
「敷金」の役割
首都圏他多くの地域では賃貸住宅に入居する際、「敷金」が必要になります。以前に比べると敷金も0(ゼロ)という物件も増えてきましたが、まだまだ敷金は賃貸住宅の入居時に必要なもののひとつです。また、一部関西地方では「敷金」ではなく、「保証金」が必要になりますが、本質的な意味や役割はほぼ同じです。 敷金は大家さんに預けるお金ですが、その役割は賃貸住宅に入居中、入居者が万一本来支払うべきお金を支払わない不測の場合に備えるための預かり金ということになります。
もう少し具体的に言えば、家賃滞納をした場合や退去時の修繕費用のうち入居者負担分を支払わない場合などに充てられるお金です。ただし、家賃の滞納があったからすぐに敷金を取り崩すかといえば、そうではなく、あくまでも最後の手段として敷金があります。
ここで注意すべき点は、例えば今月家賃の支払いが苦しいからといって入居者の側から「敷金を家賃に充当してほしい」と言うことはできません。入居者や連帯保証人に支払い能力がなくなった、夜逃げ等で連絡がつかないなど非常時のみ敷金が不足する支払金額に充てられます。
さて、敷金はあくまで預り金ですから、基本的には退去時に返ってくるものですが、首都圏をはじめとする地域では、敷金から退去時の修繕費を差し引いて残りが返金されるのが一般的です。本来、何事もなければ敷金は全額返金され、別に退去時の修繕費用のうち入居者負担分を支払うということになりますが、ここで金銭が往復するため、やり取りが煩雑になります。そこで、このやり取りが面倒なので預かっている敷金から退去修繕費の入居者負担分差し引いて戻すというやり取りが一般的になっています。
以前は、預けた敷金はほとんど返って来ないことが非常に多く、下手をすると追加で修繕費用を徴収されるといったことが頻発していました。本来であれば貸主が負担すべき費用も入居者に支払いを求めることや不当に高額な請求をされたといった敷金返還をめぐるトラブルが多発し、社会問題化しました。
それを受けて、平成10年に国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針を策定したことから状況が変わりました。東京都がこのガイドラインを受けて、賃貸住宅のトラブルの原因になりそうなものは事前に説明することを不動産会社に義務付けする条例を策定し、平成16年10月1日より「賃貸住宅紛争防止条例」(いわゆる「東京ルール」)を施行しました。これにより、退去時の費用負担に関すること等を入居契約時にはっきりと説明することになりました。さらに来年(2020年)4月に120年ぶりに民法が改正され、実質的にこのガイドラインが正式に法律として民法に盛り込まれることになります。
現在、首都圏では退去時の修繕費用のうち大半が貸主負担となり、原則として入居者は故意・過失または通常使用を超える部分についてのみ負担することがだいぶ一般的になってきました。
地域によって「敷金」ではなく「保証金」
ここで、少しだけ首都圏以外の話をすると、京都や滋賀、一部の九州地方など西日本では「保証金」と「敷引き」という商慣習(システム)になっています。 前述の通り「保証金」は「敷金」とほぼ同じ意味合い(万一のための預り金)ですが、そこに「敷引き」というものが付随しています。「敷引き」は退去時の修繕費等をあらかじめ決めたもので、決められた敷引き分は償却されて返って来ません。例えば、「保証金20万円・敷引き15万円」となっていれば、預け入れた20万円のうち15万円はどんなに部屋をきれいに使っていても無条件に返って来ないというものです。
首都圏の方にとっては、預けたお金のうち無条件に返って来ないものに抵抗感があると思います。ところが、「敷引き」が慣習になっている地域には、「礼金」がないので、「敷引き」分が「礼金」だと考えると似たようなシステムとも言えます。
「敷金」は戻ってくるか
前述のようにガイドラインが策定されてから、貸主の負担すべき費用が明確化され、東京都では条例化したこともあって、昨今は「故意」「過失」によって明らかに入居者が傷つけたり汚したりした箇所以外はほとんど貸主が負担するようなってきています。ただし、事前に借主に承諾を得たものは借主の負担とすることができるので、室内での喫煙を原因とするクロスの交換費用や最低限のルームクリーニング費用は入居者の負担としているケースが多くなっています。
したがって、最初に約束したクリーニング代や故意・過失で傷つけたり、汚したりした箇所については借主の負担となりますが、残りは戻ってくることがほとんどです。
横浜市内の不動産のことなら、売買・賃貸問わずなんでもご相談ください。
賃貸住宅探しはお客様のご要望をお聞きして丁寧にご案内させていただいておりますので、お気軽にご連絡ください。
ホワイトハウス大口店
Email:info-oguchi@whitehouse-ta.jp
TEL:045-642-4040
0コメント